住宅購入時に資金援助を受けたことを隠しても問題 ない?
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住宅購入時に資金援助を受けたことを隠しても問題ない?
住宅購入時に資金援助を受けたい場合に、援助を申告しなければならないことを不満に感じていませんか?なかには、資金援助を受けたことを隠そうと考えている方もおられるかもしれません。しかし、本当に資金援助を受けたことを隠すことはできるのでしょうか。
今回は、住宅購入時に資金援助を受けたことを隠せるのかについてご紹介します。
■親などから資金援助を受けたことは隠せる?
住宅購入には多くの資金が必要です。しかし、贈与税を払いたくないからと言って、申告しなかった場合は加算税が、期限内に相続税を支払えなければ延滞税が課せられ、刑事罰を受ける可能性もあります。
・すぐには発覚しなくてもいずれ発覚する
税務署では不審なお金の流れを監視していますが、24時間常に一人ひとりのことを監視しているわけではないので、すぐに発覚することは多くはありません。しかし、最終的に税務署で発覚するような仕組みがあるので、遅かれ早かれいずれは発覚します。そのため、隠し通せるとは考えないほうがよいでしょう。
・資金援助が発覚する理由
A「常に監視していないのに、どうして資金援助がわかるんだろう?」
B「税務署で無申告が判明するのは、主に2つのタイミングがあるよ」
A「そうなの?でも現金でもらえばわからないんじゃない?」
B「そんなに税務署のチェックは甘くないよ!具体的に発覚する理由を見てみよう」
<相続>
相続税が発生すると、税務署から税務調査が行われることが多いため、最も多い発覚のタイミングと言えるでしょう。税務署では、亡くなった人と相続人の銀行口座などを過去10年は遡ることができ、相続や贈与での申告漏れがないかを確認します。
<不動産登記>
不動産を購入する際に、税務署から「お尋ね」と呼ばれる書類が届くことがあります。お尋ねには、購入した物件の情報、購入した人の個人情報などを記載する必要があり、質問項目には不動産購入の支払方法や、代金の調達方法に関する内容を書かなくてはなりません。信ぴょう性の低い回答や虚偽を記載すると、税務署員が訪れることもあり、発覚につながります。
・現金でもらえば発覚しない?
相続でも説明したように、現金で受け取ると、相続時に不審なお金の流れとしてチェックされる可能性が高いです。何に使ったお金かを調べるため、相続人が預貯金を調べられると不正に受け取ったとみなされかねません。そのため、振込や現金での受け取りもできないと考えておきましょう。
・無申告が発覚するとどうなる?
無申告があった場合、申告義務違反として無申告加算税が科されます。無申告加算税は最大40%にも上るうえに、無申告加算税と併せて延滞税も払わねばなりません。延滞税は本来の納税日から遅れた日数に応じて加算されるため、長ければ長いほど支払額が増えます。
書類偽造をした場合は、他にも重加算税が科される可能性があるので、贈与を受けたら必ず申告しましょう。
■不動産の購入で資金援助をしてもらう際のポイント
住宅購入で資金援助を受ける場合は、下記のポイントを押さえておきましょう。
・年間110万円までは非課税になる
合法的に無税で贈与を受ける方法として、贈与税(暦年課税)の非課税枠を利用する方法があります。非課税枠は年間110万円までなので、1月1日~12月31日までの間で110万円を超えないようにしましょう。ただし、非課税枠はもらう側の制限であるため、複数人から110万円をもらうことはできません。
また、非課税枠の110万円は近い将来撤廃される可能性があります。
・住宅取得資金の贈与の特例を利用する
住宅を購入する場合は、専用の特例を利用することも可能です。
<住宅取得資金の贈与の特例とは>
子ども、または孫の住宅購入のために、一定額までであれば資金援助をしても贈与税が発生しないという特例です。ただし、直系の子孫に限定されるため、配偶者の親などから援助を受けても特例は適用されません。
<贈与のタイミングにも注意>
特例を利用する場合、住宅の完成と住み始めるタイミングについて考えておきましょう。特例の対象になるためには、原則、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、入居しなくてはなりません。
もし、本人に転勤や療養など、やむを得ない事情がある場合は、代わりに家族が要件を満たしていれば適用されます。
そのため、贈与を受けるのはできるだけ住宅取得の直前に行うとよいでしょう。
・贈与税が発生しない場合でも申告は必要
注意しておきたいのが、たとえ贈与税が発生しない範囲内でも、申告自体は必要ということです。税金が発生しなくても贈与を受けたことに変わりはないため、申告が洩れると無申告のペナルティと同様に、無申告加算税と延滞税が発生します。
贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までなので、忘れずに申告しましょう。申告しなかった場合は、住宅取得資金贈与の特例を利用できません。
■まとめ
大きな金額の援助を受けると、当然支払う税金も大きくなります。しかし、正しく利用できれば便利な制度もあります。税金の発生に関係なく、申告は必要だということを忘れないでください。
※本コラムの内容は令和4年6月1日現在の法令等にもとづいております。年度の途中に新税制が成立した場合や、税制等が変更されるケースもありますのでご了承ください。また、詳細について知りたい方は、お近くの税務署や税理士などにご確認ください。