2022年の不動産市況はどうなる?2021年の振り返りと併せて紹介
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2022年の不動産市況はどうなる?2021年の振り返りと併せて紹介
不動産市況は多くの要因によって変化します。不動産を売買する際は、不動産市況について考えることで有利に売買できることもあるため、必ずチェックしておきましょう。
今回は2022年の不動産市況を、2021年の振り返りとともにご紹介します。
■2021年の不動産市況の振り返り
A「2021年と言えば前年と同様、新型コロナウイルスの感染者が多かった年ですよね。緊急事態宣言が再び発表され、人の動きや世帯収入が減ったことを考えると、やはり不動産の需要は低かったのでは...?」
B「確かに新型コロナウイルスの影響を受け、一時は減少しましたが、2021年は全体として回復傾向にあります。特に首都圏では不動産の需要が高まってきているんですよ。」
・マンションや戸建て住宅の価格は高騰していた
2021年の不動産市況では、首都圏における新築一戸建て住宅およびマンション価格の高騰が顕著でした。特に中古マンションの需要が高く、1m²あたりの価格も上昇傾向にあります。
・需要増大、価格上昇に特に大きいと考えられる要因
<リモートワークの増加>
2021年は新型コロナウイルスの感染対策としてリモートワークを取り入れる企業が増加しました。外出の自粛で自宅にいる機会が増え、より快適な住環境が求められるようになったことが考えられます。
<人手と設備の不足>
<住宅ローン>
近年における住宅ローンの低金利化も、要因の一つとされています。さらに住宅ローン控除を利用する場合は、原則として10年間、ローン残高の1.0%を控除してもらうことが可能でした。こうした現状は、住宅ローン控除の控除額がローンの利息額を上回るという「逆ザヤ」の状態を生み出し、場合によっては今の家賃以下の金額でさらに快適な住まいを得られるケースもあります。
※令和4年の税制改正で、控除率は1.0%から0.7%に引き下げられました。
■2022年の不動産市況予測
・2021年からの変化
2022年の不動産市況は、現段階で2021年と同様の経過をたどることが予想されています。新型コロナウイルスの影響で住み替えを望む人が増えたことは、不動産業界にとってプラスの要素と言えるでしょう。
コロナ後も継続してリモートワークが
また、2020年にコロナ禍で郊外へと移住した人が賃貸の契約を更新するのは、2022年の夏以降です。更新時期に合わせて人の流動があるかもしれません。
・押さえておきたいポイント
<2022年問題>
1992年の「生産緑地法」により、生産緑地として農地利用されていた土地が、指定期限を迎える2022年以後に市場に出回るかもしれません。これを「2022年問題」と呼び、宅地用の土地が急増することで不動産価格の下落が懸念されています。しかしながら、2018年4月に施行された「特定生産緑地制度」の活用により、その影響は軽微であると予測する専門家も少なくありません。
<新型コロナウイルスの影響>
2022年5月現在、新型コロナウイルスの流行は未だ収束する気配がありませんが、ワクチン接種も進んでおり、脅威を奮った2020年当初のような混乱が起きる可能性は低いと言えます。しかし、新たな変異種が出現していることも踏まえると、動向を常に注視しておく必要があるでしょう。
・今後大きな影響を与えそうなものは?
<2023年問題>
2023年問題とは、高齢者の一人暮らしや核家族化を背景に、今まで上昇を続けてきた日本国内の世帯数が2023年をピークに減少していう内容です。世帯数が減ることで不動産の需要は少なくなり、人口が少ない地域では特に住宅価格の下落が示唆されています。
<政府や国政>
2022年以後の不動産市況を把握するためには、政府による土地・不動産関係の政策や国政の動きをチェックしておくことが大切です。
たとえば、2022年問題による不動産価格の暴落に備え、政府は「特定生産緑地の指定」を始めとするさまざまな対策を講じています。
また、近年の「空き家問題」に対して、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、管理不全の空き家への措置が進んでおり、売却処分等で市場に供給される空き家が増加する可能性はあります。
■まとめ
2022年は不動産価格の2021年と同様に好調が予想されるものの、不動産市況に影響を与えかねないいくつかの問題も控えています。今後の状況次第では、不動産の価格が大きく左右される可能性もあるため、住宅を購入する予定がある場合は、まずは市場の動きをよく把握することが大切です。
※本コラムの内容は令和4年5月1日現在の法令などに基づいております。年度の途中に新税制が成立した場合や、税制などが変更されるケースもありますのでご了承ください。また、詳細について知りたい方は、お近くの税務署や税理士などにご確認ください。