不動産の相続の「二次相続」ってどんなもの?
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不動産の相続の「二次相続」ってどんなもの?
一般的に相続は両親が亡くなることにより発生します。例えば先に父親が亡くなった時に、母親と子が遺産を受け継ぐ相続は「一次相続」、次に母親が亡くなった際に子が遺産を受け継ぐ相続を「二次相続」と言います。二次相続では一次相続時につかえた配偶者特別控除等が適用できないなど、知らなければ相続時に問題が発生しかねません。
今回は、不動産の二次相続がどのようなものかについて説明いたします。
■二次相続とは
不動産の相続をする際は、二次相続まで考えておく必要があります。具体的に二次相続とはどのような相続なのでしょうか。
・二次相続とは?
二次相続とは、一次相続で相続人となった者が亡くなった際に発生する相続のことです。
たとえば、父親と母親、子どもの家庭の場合で見ていきましょう。二次相続が発生するのは、父親が亡くなったあとに母親とその子どもが相続人となり、その後に母親が亡くなって子どもが相続人となったときが該当します。
二次相続と似た相続方法に「数次相続」というものがありますが、二次相続とは相続方法が異なります。
二次相続は一次相続の後に発生した相続、数次相続は相続手続き前に開始される相続のように区別しましょう。
・配偶者は建物の所有権を相続しなくても居住できる!?
被相続人と以前から同居していた配偶者には、同居していた建物の所有権を相続していなくとも居住できる権利があります。
この権利は「配偶者居住権」と呼ばれ、令和2年4月1日以降に開始した相続で適用が可能となりました。
残された配偶者は、被相続人が所有していた不動産に無償で暮らすことが可能です。
この権利は、あくまで残された配偶者の生活を助けるために認められています。そのため、不動産の売買や譲渡はできません。
■二次相続はどのようなことに注意が必要?
A「二次相続までを見据えていないと、いざというときに大変そうですね」
B「知識のないまま二次相続をしてしまうと損をしてしまう可能性があります。注意点を説明しますね」
・小規模宅地等の特例は対象外
二次相続では、「小規模宅地等の特例」の適用が難しくなります。
小規模宅地等の特例とは、相続税を大きく軽減できる制度の一つで、条件を満たせば相続税評価額が80%も減額されます。
しかし、子どもが亡くなった両親と同居していない場合には適用されません。
小規模宅地等の特例を利用するためには、早めに同居したり二世帯住宅にしたりなどの対策が必要です。
・二次相続では配偶者控除が使えない?
配偶者控除とは、特定の額まで相続税が課税されない制度のことです。
二次相続は配偶者不在の相続であるため、配偶者控除は利用できません。一次相続の財産全額に対して相続税がかかることを覚えておきましょう。
・基礎控除額が下がる
基礎控除とは、亡くなった人の財産のうち、一定の金額までは税金がかからない制度です。
基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算でき、二次相続は一次相続よりも相続人の人数が少ないため、基礎控除額が下がります。
つまり、一次相続よりも二次相続のほうが相続税の納付額が多くなる計算です。
■二次相続で考えておきたいこと
二次相続にはさまざまな注意点があることを先述しました。では、具体的にどのようなことについて考えておけばよいのでしょうか。
・同居している子どもがいる場合は、その子どもに相続させることも考えよう
同居している子どもがいる場合は、小規模宅地等の特例が認められます。
相続税の負担軽減につながるため、同居している子どもに相続させることも視野に入れておきましょう。
・十分な納税資金を用意する
相続税は相続が発生してから10か月以内に納付する義務があります。
二次相続は、一次相続よりも相続税の納付額が多くなるため、相続税額の把握や資金準備は早めに行いましょう。
生前贈与を活用したり生命保険へ加入したりすると、相続税の対策として反映されます。
・配偶者の資産を増やさない
二次相続の相続税額は、配偶者が一次相続で相続した財産に、さらに配偶者固有の財産が上乗せされた金額です。
つまり、一次相続で配偶者が相続する資産が多ければ多いほど、相続税が上がります。
そのため、配偶者の資産をなるべく増やさないように工夫しましょう。
・二次相続の優遇規定を利用しよう
「相次相続控除」と呼ばれる優遇規定を利用すると、相続税の負担が軽くなります。
相次相続控除とは、10年以内に一次相続と二次相続が発生した際に受けられる減税制度です。
一次相続と二次相続の期間によって控除額が変わります。
相次相続控除の利用条件は、一次相続の際に相続税を納税していることです。一次相続で相続税を納税していない場合は、相次相続控除を受けられないため、注意が必要です。
■まとめ
二次相続とは、一次相続の次に発生する相続です。二次相続では、小規模宅地等の特例の適用が難しくなったり基礎控除額が下がったりなどの注意点があるため、家族で相談し事前準備をしっかり行いましょう。また、税理士等に相談されるのも良いかもしれません。
※本コラムの内容は令和4年1月14日現在の法令などに基づいております。年度の途中に新税制が成立した場合や、税制などが変更されるケースもありますのでご了承ください。 また、詳細について知りたい方は、お近くの税務署や税理士などにご確認ください。