不動産売買における支払調書とはどんなもの?
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不動産売買における支払調書とはどんなもの?
不動産売買には支払調書が必要になりますが、支払調書とはどのようなものかご存じでしょうか。支払調書は提出義務があるので、きちんと提出できるように基礎的なことを知っておきましょう。
今回は不動産売買における支払調書についてご紹介します。
■不動産売買における支払調書とは
支払調書とは一般的に「誰に、どんな内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類のことです。
不動産売買の支払調書にはどのようなものがあるのでしょうか?
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産売買における支払調書には「不動産等の譲受けの対価の支払調書」があります。
・どんな場合に必要?
不動産の売買に関して、同一の者に対する年間の支払合計額が100万円を超える場合に必要です。
不動産売買では100万円を超えるのが当たり前ですから、ほとんどの場合に「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出が必要になるでしょう。
・誰が作成する?
「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は、不動産を買い取った法人または不動産業を営む個人が作成して税務署に提出するものです。売却した側が作成するものではありません。
法人の場合、基本的に経理担当者が作成することになります。
・提出方法
完成した「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出方法には、以下の3つがあります。
- 書面
- CD/DVDに電子データを記録して提出
- e-Taxからの提出
書面の場合は、税務署から送付される書類、もしくは国税庁ホームページでPDFをダウンロードして作成することができます。
CD・DVDにデータを保存すれば、電子データで税務署に持ち込むことができます。 この場合、提出の2ヶ月前までに申請しなければならないので注意が必要です。
最も便利なのがe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用する方法です。作成から提出まで全てオンラインで完結できるので、事務作業の手間が省けるうえにペーパーレスにも繋がるでしょう。
なお、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出は、支払いが確定した年の翌年1月31日までにしなくてはなりません。
・提出しなかった場合どうなる?
「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を期日までに提出しなかった場合、法律で罰せられる可能性があります。
所得税法242条では「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。
提出しなかっただけでなく、虚偽記載があった場合も同様です。
■支払調書の代表的な種類
代表的な支払調書には4つの種類があります。
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受の対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸し付けのあっせん手数料の支払調書
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
一定の報酬・料金・契約金・賞金などを支払う人が税務署に提出する支払調書です。
たとえば、以下のような場合に提出義務が発生します。
※( )内は1人に対する年間の支払合計額
- 弁護士・税理士への報酬(顧問料)、作家の原稿料、講演料など(5万円を超える)
- プロ野球選手への報酬・契約金(5万円を超える)
- 外交員・集金人への報酬(50万円を超える)
- 社会保険診療報酬支払基金の支払う診療報酬(50万円を超える)
- プロボクサー、バー・キャバレーのホステスへの報酬(50万円を超える) など
・不動産の使用料等の支払調書
不動産を借りる、借地権のように不動産上の権利を借りることで対価を支払った場合に提出しなければならない支払調書です。
事務所の家賃・権利金・更新料・礼金等もこれに含まれます。ただし、法人に対して支払うのが賃貸料のみの場合は提出義務がありません。
また、敷金や保証金についても提出義務はありません。基本的に返還されるものだからです。ただし、返還されないことが確定した場合には提出義務が発生します。
・不動産等の譲受の対価の支払調書
不動産等を譲り受け、同一の者に対して年間の支払合額が100万円を超える場合に提出しなければならない支払調書です。
「譲り受け」には、不動産の売買・交換・競売・現物出資・公売などの取引も含まれます。
・不動産等の売買又は貸し付けのあっせん手数料の支払調書
不動産・不動産上の権利などについて、売買で対価を支払った場合、貸付けのあっせん手数料を支払った場合に提出する支払調書です。
同一の者に対して年間の支払合計額が15万円を超える場合に提出する必要があります。
ただし、「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲り受けの対価の支払調書」の「あっせんをした者」の欄に必要な記入がされている場合は、提出の必要はありません。
■まとめ
大事なポイントは、支払調書が提出されることにより、税務署が「誰が、いつ、不動産売買で収入をいくら得たか」を把握しているという点です。
支払調書には、「支払いを受けた個人」が正しく申告しているかを確認する目的もあるのです。
不動産を売却した際に売却益が出た場合は、必ず確定申告するようにし