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不動産相続を放棄する場合に必要な手続きや書類は?【相続放棄のやり方】

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不動産相続を放棄する場合に必要な手続きや書類は?【相続放棄のやり方】

不動産相続だけではなく相続放棄にも手続きが必要になります。もし相続を放棄したい場合は申請が一度しかできないため、不備なく手続きを行うことが大切です。

今回は不動産相続を放棄する際のやり方をご紹介します。

■不動産相続を放棄の方法

不動産の相続放棄の流れ・必要書類・必要経費について解説します。

・不動産相続放棄に必要な手順

不動産の相続放棄に必要な手順は以下です。

【1.法定相続人を確認する】

まず、法定相続人は誰なのか、自分が相続放棄した場合は誰に相続権が移動するかなどを確認しておきます。相続権が移る次順位の人たちに相続放棄する旨を通知しておかなければ、後々トラブルになる可能性があるからです。

【2.相続財産を調査する】

一旦相続放棄すれば、後からプラスの財産が出てきた場合でも相続することはできません。相続財産の調査は慎重に行う必要があります。

【3.相続放棄の意思決定(3ヶ月以内)】

被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に相続放棄の意思決定をする必要があります。3ヶ月を過ぎると相続放棄できませんので、注意が必要です。

【4.相続放棄にかかる費用・必要書類を準備する】

相続放棄手続きを専門家に代行してもらう場合は、費用がかかります。また必要書類の中には発行までに日数を要するものがあるため、事前に確認しておきましょう。

【5.家庭裁判所に相続放棄を申述する】

管轄の家庭裁判所に必要書類を送付し、相続放棄の申述をします。基本的に、管轄の家庭裁判所は「被相続人が亡くなる直前に住んでいた地域の家庭裁判所」です。

【6.家庭裁判所からの「相続放棄に関する照会書」に回答・返信する】

照会書の内容は、基本的に申述内容の再確認です。内容に誤りがあった場合、相続放棄が受理されないこともありますので注意が必要です。

【7.相続放棄申述受理通知書を受け取る】

裁判所から送付される相続放棄申述受理通知書を受け取って相続放棄完了です。

・相続放棄に必要な書類

相続放棄の手続きに必要な書類は以下の4つです。

  1. 相続放棄の申述書
  2. 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  3. 申述人の戸籍謄本
  4. 被相続人の死亡記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

上記はあくまで被相続人の配偶者・子供が相続人となる場合です。相続人がその他の場合は追加書類が必要になりますので、事前に確認しておきましょう。

・相続放棄にかかる費用

相続放棄の申述にかかる費用は以下です。

  • 収入印紙(800円分)
  • 書類送付用の郵便切手代
  • 戸籍謄本など取得代

他にも専門家に手続き代行を依頼する場合は、代行費用が必要です。

■どんな場合に相続放棄した方がいい?

相続放棄は慎重に決定すべきです。そこで、どんな場合に相続放棄すべきか解説します。

・債務超過

被相続人の資産よりも借金の方が多い場合(債務超過)は相続放棄すべきです。

たとえば、被相続人に資産が2,000万円、借金が5,000万円あったとしましょう。通常どおり相続してしまうと、相続人は3,000万円の負債を背負うことになります。

このような場合は相続放棄して、3,000万円の返済義務を免れる方が得策です。

・連帯保証人と被相続人が同じ場合

もし被相続人が、他人の借金の連帯保証人になっていた場合には、相続放棄することをおすすめします。

被相続人が亡くなると、連帯保証人としての債務は次の相続人に引き継がれます。その場合、相続放棄することで、債務を免れることができます。

・生命保険がある場合

相続人が被相続人の生命保険の受取人である場合は、相続放棄した方が得な場合があります。生命保険は相続放棄しても受け取ることができるからです。

たとえば、以下のような場合を考えてみましょう。

  • 資産=5,000万円
  • 借金=6,000万円
  • 生命保険=3,000万円

普通に相続した場合、資産と生命保険で借金を精算しますので2,000万円しか残りません。しかし、相続放棄すれば保険金の3,000万円はそのまま手元に残ります。

この場合、相続放棄した方が得という結論になるでしょう。

■不動産相続を放棄する際のポイント

最後に、相続放棄する際に知っておくべきポイントを解説します。

・郵送でも手続きができる

相続放棄の手続きは基本的に郵送で行うことができます。ただ、聞き取りのため家庭裁判所から呼び出されることもあるので、その際は出向く必要があります。

・代襲相続は発生する?

相続放棄によって代襲相続が起きることはありません。

代襲相続とは、本来の相続人が死亡などの理由で相続できない場合に、その子や孫に相続権が下るものです。

相続放棄は「最初から相続権を持っていなかった」とみなされるため、代襲相続の発生理由にはなりません。

・限定承認も考えてみる

相続放棄を決める前に、限定承認の道も模索してみましょう。

限定承認とは「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐこと」です。限定承認であれば、相続によってマイナスが発生することはありません。

限定承認の最大のメリットは「不動産を失わずに済む」点です。

たとえば、被相続人が借金2,000万円、1,000万円の価値がある不動産を持っていたとしましょう。

限定承認の場合、借金の相続は不動産の額と同じ1,000万円です。裁判所の手続きにより不動産が換価処分(現金に換える)され、借金の精算が行われます。

もし相続人に1,000万円の返済能力があれば、換価処分を免れて不動産を手元に残すことができます。

不動産を失いたくない場合は、限定承認するのも1つの方法でしょう。

■まとめ

単純にマイナスの財産の方が多いからといって相続放棄を決めてしまうことはおすすめしません。

相続放棄は大切な不動産を手放してしまうことになります。不動産を確保するために限定承認という方法もありますので、相続放棄の意思決定は慎重に行うのが良いでしょう。