不動産売買にもクーリングオフがある!購入前に知っておこう
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不動産売買にもクーリングオフがある!購入前に知っておこう
消費者が契約を見直したい場合に利用できるクーリングオフですが、不動産の売買でも利用することができることをご存じでしょうか。
不動産は非常に大きな買い物ですので、不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、クーリングオフがあることで安心して購入を検討できるようになるかもしれません。
今回は不動産売買のクーリングオフについてご紹介いたします。
■不動産売買におけるクーリングオフとは
通常であれば、一旦結んだ売買契約を一方的に解除することは、相当の理由がない限りできません。
しかし消費者が著しく不利な状況で売買契約が結ばれた際に限り、消費者が一方的に無条件で契約を解除できる制度をクーリングオフといいます。
では不動産売買におけるクーリングオフとはどのようなものなのでしょうか。効果や利用方法を解説します。
・不動産売買におけるクーリングオフ
過去には不確かな利益を約束したり、購入者が詳しくないことを利用して強引な手法で不動産を契約させたりする事例があとを絶ちませんでした。クーリングオフは、このような悪質な売買から購入者を保護するための救済措置として生まれました。
不動産のクーリングオフについては、宅地建物取引業法によって定められています。
(宅建業法37条の2)
・クーリングオフの効果
購入者が期間内にクーリングオフを申し出れば、その時点で売買契約は効力を失います。
これは購入時に遡って効力を発揮するため、販売者は契約時に受け取っていた契約申込金や手付金、手数料などのすべての金銭を、すみやかに購入者に返却しなければなりません。
また契約解除により販売者に損害が発生したとしても、購入者に対して損害賠償や違約金の請求はできない、という厳格な制度です。
・クーリングオフを利用する方法
クーリングオフは、書面によって申し出ることが必要です。口頭での申し出はできません。
クーリングオフの行使において大切なことは、クーリングオフの告知について説明されてから「8日」の期間内に申し出を行ったか、という点です。そのため、申し出には郵便局の配達証明付き内容証明郵便の利用をおすすめします。送達日時と申し出内容を証明できるので、後のトラブル防止に役立ちます。
書面には、(宅地建物取引業法37条の2に基づいて解除する旨など)必要な内容を記載しましょう。(詳しくは、消費生活センターなどに相談しましょう。)
■不動産売買でクーリングオフを利用するための条件
クーリングオフは、購入者にとって心強い制度です。
ただし「立場の弱い購入者を悪質な販売者から保護する」目的の制度であるため、利用するにはいくつかの条件が存在します。
・売主と買主の属性
売主が宅地建物取引業者であることが条件のひとつです。
売主がそれ以外である場合は、クーリングオフの適用対象外となります。必ず事前に確認するようにしましょう。
また売主と買主どちらも宅地建物取引業者である場合にも、クーリングオフの適用はされません。買主は、宅地建物取引業者で無ければ個人でも法人でも適用対象になります。
・対象となる売買契約
クーリングオフの対象となる不動産は、一般家屋や社屋のような物件のみが対象ではありません。駐車場などの物件や、山林、農地であってもクーリングオフの対象となります。
・契約場所
クーリングオフが適用されるかどうかは、売買契約を締結した場所によっても判断されます。
「宅地建物取引主任者が常駐するべき建物以外」で売買契約が行われたケースが、クーリングオフの適用対象になります。
具体的には購入者の自宅やファミレス、喫茶店など、購入者が冷静な購入判断ができないと思われる場所です。
反対に宅地建物取引業者の事務所やモデルルームなど、宅地建物取引主任者が常駐しており、購入者が冷静な判断ができるとされる場所での契約にはクーリングオフは適用されないのです。
ポイントは「購入者が自分の意志で、冷静に購入判断できる状態での売買契約かどうか」です。そのため販売者がモデルルームでの商談を希望しているにも関わらず、購入者の都合により自宅での商談・売買契約が行われているようなケースでは、クーリングオフは行使できません。
・説明から8日以内
「クーリングオフは8日以内に」という話はよく耳にしますが、この8日間というのはどのタイミングからのことなのでしょうか。
これは、宅地建物取引業者より「申し込みの撤回や契約解除を行うことができる旨とその方法等」を書面により告げられた日からの起算になります。売買の申し込みや売買契約を締結した日からではないため注意が必要です。
もし、宅地建物取引業者がクーリングオフの告知をせずに売買契約を結んだ場合には、購入者は8日間に限らずクーリングオフを行使することができます。
ただし8日の間であっても、購入者が不動産の引き渡しを受け、その上で代金のすべてを支払った場合はクーリングオフの適用外となるため注意が必要です。
クーリングオフは、不動産など高額な買い物をする消費者の強い味方となる制度です。
内容や利用条件などをきちんと確認して、売買契約に備えたいものです。
しかし最も重要なことは、不動産の情報をしっかりと収集して購入を冷静に判断することなのかもしれません。