高断熱リフォームで省エネ住宅に!戸建てとマンションのリフォーム方法
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東日本大震災以降、国内での省エネ意識が高まる中、平成28年4月1日から「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」施行されました。
既存住宅をリフォームした場合でも、この建築物省エネ法の基準を満たすと、基準適合認定表示(eマーク)を不動産売却時の広告や契約書につけることができるようになり、資産価値の向上につながるのではないかと期待されています。
今後、さらに注目を集めそうな省エネルギー住宅(「省エネ住宅」)ですが、今回は既存住宅を省エネ住宅にリフォームする際のポイントについてご説明します。
省エネ住宅にリフォームするメリットとは
省エネ住宅へリフォームするメリットの一つは、省エネ効果によって光熱費の削減が実現できることです。
さらに建物本体の断熱・気密性を向上させた省エネ住宅では、住み心地が良くなるうえに建物本体も長期的に維持しやすくなるため資産価値の向上にもつながります。
あわせて先ほど説明したeマークが社会に広く認知されれば、より一層資産価値が高まる可能性があります。
戸建てを省エネ住宅にリフォームしよう
木造の戸建て住宅とマンションでは建物の構造が異なるため、リフォームできる範囲が異なりますが、中でもリフォームによって省エネ効果の向上が期待できるのが木造の戸建て住宅です。
まずは戸建て住宅を省エネ住宅へリフォームする際のポイントを見てみましょう。
建物本体の断熱・気密性を高めるリフォームは「断熱リフォーム」と言われており、戸建て住宅では、外気と接触する窓や屋根などのリフォームが中心となります。
(1)窓、玄関等の開口部
窓や玄関などの開口部は、住まいの中でも熱の出入りが大きな場所です。
夏の直射日光や冬の冷気をおさえるような遮熱断熱サッシにリフォームすれば高い省エネ効果が期待できます。
<リフォーム費用の目安>
例えば、2階建ての東西南北に10箇所窓がある住宅で、すべての窓を遮熱断熱サッシへ交換するリフォームでは、おおよそ120万円~150万円程度の費用がかかります。
(2)屋根・天井
屋根や天井は熱がたまりやすく、上階は高温になりがちです。
断熱リフォームをすることで、夏場でも快適な温度を保ち、エアコンなどの空調の光熱費を抑えることができます。
<リフォーム費用の目安>
例えば、断熱材の硬質ウレタンフォーム保温板を屋根(施工面積50㎡)に張り付けるリフォームではおおよそ300万円程度の費用がかかります。
天井の断熱リフォームの場合、例えば、ロックウール断熱材を屋根裏(施工面積50㎡)に敷き詰めるリフォームではおおよそ100万円前後の費用がかかります。
(4)床
寒い時期になると、床が冷たくて足が冷える...と悩んでいる人には床の断熱リフォームがおすすめです。
暖房をつけても暖まりにくい床も、断熱材を取り付けることで部屋全体を暖かくすることができ、電気代節約にもつながります。
<リフォーム費用の目安>
例えば、ポリスチレンフォーム保温板を床下(施工面積50㎡)に敷き詰めるリフォームではおおよそ150万円前後の費用がかかります。
(5)外壁
外壁はもっとも外気と接触する箇所でもあり、断熱リフォームをすることで、夏冬ともに住まい全体を快適な温度に保ちます。同時に結露を防ぐ効果があり、カビの発生を抑え、清潔な環境を維持してくれます。
<リフォーム費用の目安>
例えば、外壁(施工面積150㎡)の外側からフェノールフォーム保温板を張り付ける(外断熱)リフォームではおおよそ500万円程度の費用がかかります。
※リフォーム費用の目安は、施工会社、素材、施工面積、施工箇所の状態など様々な条件によって異なります。
マンションは設備の省エネ化がおすすめ
一方、マンションでは外壁、天井、壁などの多くは共用部分に該当するため、個人ができる建物本体のリフォームは限られます。
そこでマンションの省エネ住宅リフォームとしておすすめなのが、設備の省エネ化です。
例えば、高断熱浴槽を採用したユニットバスへ交換する、高効率給湯設備に交換するといったことはマンションでも比較的容易にリフォームできます。
その他、既存の窓の内側に新たな内窓を設置することも断熱・気密性が向上するおすすめのリフォームです。内窓の設置は10万円程度の費用から行うことができます。
なお、中古マンションを購入して自分でリフォームする場合であれば、スケルトンリフォーム(完全に内装をリフォーム)をすることでコンクリート面の内側に断熱材を入れる断熱リフォームも可能になります。
最後に、所得税には「省エネ特定改修工事特別控除」という平成31年6月30日までの優遇措置があり、少々厳しい要件ですが、基準を満たせば、リフォーム工事の標準的な工事費用相当額(消費税8%または10%の場合)の10%(最大25万円)の税額控除が受けられます。