借地権を相続する場合の注意点
コラム
不動産コラム
所有権同様、借地権も相続することが可能
親から譲り受ける相続というと、土地家屋の所有権が一般的ですが、意外に知られていないのが、借りている土地の上に建てられた家屋を相続した場合、その土地の借地権も相続することになることです。
借地権を相続する場合に知っておきたいこと、注意点を解説します。
借地権の相続で更新料や名義書換料などは発生しない
借地権には、借地権(旧借地法)・定期借地権・事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権・一時使用目的の借地権の5種類があります。
借地権も立派な財産であり、相続税の対象となりますが、該当する土地の相続税評価額の60~70%であることが多く、評価額が低くなることが特徴です。
その比率は国税庁の路線価図や評価倍率表に示されているので評価額を知りたい場合は調べておきましょう。
地権者が死亡した場合、借地上の建物の所有権は法定相続人のものとなります。
借地権を相続できる人は、通常の遺産相続と同様、配偶者・子・父母・兄弟姉妹とされています。
建物の所有権が法定相続人へ移転することに伴って、建物が建っている土地の借地権も法定相続人に移ります。
民法896条によると「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と規定されていますので、土地の貸主(以下、地主)の承諾は必要ありません。
地主が代替わりしている場合、借地契約を破棄したいなどと言われることもありますが、先代の契約が優先なので従う必要はなく、借地契約を継承することができます。
原則として、借地人の法定相続人がその借地権を相続することを、地主が拒否することはできません。
また、借地権の相続は譲渡には該当しないので、地主への承諾料や更新料、名義書換料といったものの支払いも発生しませんので、もし請求されるようなことがあっても応じる必要はありません。
ただし、売買・交換・贈与(遺贈を含む)による借地権の移転の場合は、地主の承諾が必要となり譲渡承諾料が発生します。
借地権の相続を行うことについては地主に承諾を得る必要はありませんが、相続人が決まったら、地主に伝えなくてはなりません。
そして、それまでの借地契約を新借主の名義に書き換えて手続きが完了します。
旧法借地権の場合は自動更新されますが、定期借地権の場合は存続期間が満了すると地主へ土地を返還しなければいけないので、契約内容を確認しておきましょう。
借地権の名義人とその上の建物の名義人が同一で、その相続を受ける場合は、相続人に借地権と所有権が移るのみで大きな問題はありませんが、借地の名義人が父親でその上の建物の名義人が母親になっているなどのケースもあります。
名義人が同一でない場合は、事前に専門家に相談しておくといいでしょう。
借地権を譲渡・売却するときは地主の承諾が必要
相続した借地権は第三者へ売却することも可能です。
借地権を第三者に譲渡して名義変更するときは、通常は地主の承諾が必要です。
第三者に売却するときは、土地の価格の10%といった名義変更料がかかってきます。
詳しくは譲渡・売却する前に不動産会社に相談しましょう。