晩婚化によって定年時にも学費がかかることに注意
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不動産コラム
転勤や住み替えなどで、熟年層になってから住宅を購入する方が増えています。
熟年層は収入面のピークを迎えた後で、定年前後から減少していきます。
しかし、晩婚化の今、定年退職するときに子どもが大学進学を迎え、多額の学費がかかるようになるというケースも多く見られるようになってきました。
さらには予想外の入院や通院など医療費の負担も増えてくる年代です。
そのため若い世代と同じような感覚で住宅ローンを組んではいけません。
リタイア後の生活も考えてローンの返済についてはきちんと検討しておきましょう。
年金の無支給期間があることを考えて長期計画を立てましょう
国税庁の平成25年分民間給与実態統計調査によると、サラリーマンは50~54歳時に年収のピークを迎え、その後は減少していきます。
収入面でピークを迎える時期はローンの返済にゆとりがあると思いますが、その後は減少していくことを考えると無理なく返せるようにしておきたいものです。
ここでは、夫(52歳会社員、年収650万円)、妻(パート、年収70万円)、子(大学2年生と高校3年生)、退職金(60歳時に2,500万)、貯金(1,000万円)をモデルケースとして考えてみましょう。
東京郊外に2,000万円の中古一戸建てを購入。
頭金は700万円でローン借入金額は1,300万円、ボーナス返済はなしの返済期間15年、金利が0.9 %の場合、月々の返済額は約7.8万円、合計返済額は約1,390 万円となります。
ローン完済時の夫の年齢は、67歳。
月々の返済額が約7.8万円であれば無理なく返済できそうですが、退職後から年金支給が開始されるまでの5年間は無収入になります。
それまでに月々の生活費を35万円に抑えていれば、毎月10万~15万円の貯蓄が可能です。
平均して毎月12万円を15年間貯蓄すると、およそ2,160万円になります。これに退職金が2500万円。
下の子どもの大学の学費を差し引いてもゆとりある生活ができるでしょう。
老後に必要な月の生活費は約22万円と言われていますが、平成25年度の平均年金月額(厚生年金の場合)は14万5,596円ほどです。
そのため支給額に退職金などをあてて暮らしている方がほとんどですが、これに住宅ローンが加わったら通常の生活を送ることも困難になってしまいます。
そういった側面からも熟年になって住宅を購入する場合は、上記のモデルケースで取り上げた貯金や退職金、住宅ローンの借入金額・返済期間、購入以降の生活費や月々にかかるローン支払額をトータルで事前に検討して、無理のない返済計画を立てておくことが必要です。
可能であれば、繰り上げ返済なども検討して、リタイア後に少しでもゆとりをもたせるようにしましょう。
老後の生活費は貯蓄から補填する可能性大
老後の生活は年金支給額だけでは赤字になるケースが多いと調査結果にも出ています。
思わぬ病気やケガなど、若い時にはさほど気にしなくてもよかった健康の面でお金がかかることも想定しておく必要がでてきます。
熟年層が住宅ローンの組み方を誤ると豊かな老後を送ることができなくなってしまうため、購入時には不動産会社にしっかり相談する必要があります。